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食べ物の好き嫌いに向き合う

投稿日:2016.11.24

EFL Clubがおかげさまで20周年を迎えてコラムを書いたとき、次の20年間でやりたいことの1つとして、「お母さんたちの育児のお手伝いがしたい」というものを挙げました。

ですので今回のコラムから、育児に役立つお話を書いていきたいと思います。

こんなことで困っている、こういうときはどうしたらいい?というコメントなどがあれば、ブログの下のコメント欄にぜひ書き込んでくださいね。

 

まず初回の今日は、『食べ物の好き嫌いが激しい小さな子どもにどう向き合うか』というテーマで書こうと思います。これは多くのお母さん達が経験する、とても心配な悩みですね。私の末の娘も極度の偏食でした。しかし、信頼できる育児の本を読んでそのやり方を取り入れてみたところ、嫌いな食べ物が少しずつ減っていき、体重は平均値で、風邪などもあまりひくことなく健康に育ちました。このように、私が本を読んで正しいと思いやってみたこと、娘たちを育てながら実践したらうまくいったことをご紹介していきます。

 

日によって食べる量が激しく変わる子がいますね。他にも、何週間もときには何ヶ月間も同じ食べ物ばかりを好んで食べ続ける子。好きだった食べ物を突然「キライ!」と言い出す子。…好き嫌いにも色々なパターンがありますが、どれも親としてはとても困ってしまいます。特に初めて子どもを持った親ならなおさらです。子どものためを思ってのことなのですが、バランスの良い食事をとってほしいと思えば思うほど、どうしても親の言うことを無理にきかせようとしてしまい、食事の時間が戦いの時間になってしまう、なんてことがよくあります。 でもそんなに心配する必要はありません。好き嫌いがたくさんあっても、健康的で、栄養の偏りなく育っている子がほとんどです。

 

<子どもがその食材を食べない理由を知る>

子どもがなぜ食べようとしないか、理由がわかればお母さんの心配やストレスも減ることでしょう。

 

食べ物に対する好き嫌いは、単に本当にその食べ物が嫌いな場合と、新しい食べ物に対する恐怖が原因となっている場合があります。ただ嫌いなだけならさほど大きな問題ではありません。大人にも嫌いな食べ物は多少はありますね。でも例えばブロッコリーが嫌いだからと言って病気にはなりません。他の食材でブロッコリーの持つ栄養素を補っているからです。年を重ねると食の好みが変化することもあるので、いつか食べられるようにもなるでしょう。

 

新しい食べ物に恐怖感を持つ現象はfood neophobia(食物新奇性恐怖)と呼ばれていますが、これも人類の持つ本能です。恐怖を持つことで、何でもむやみに口にしないよう毒から体を守っているのです。そのため、何か新しいものを食べようとするとき、初めて見る形やにおい、色、質感などに対し、警戒心を生むようにできています。この食物新奇性恐怖というのは、多かれ少なかれたくさんの子どもが持っているもので、主に野菜や果物、ときには肉類に対しても現れます。実は大人にも同じように現れますよ。あつあつに茹であげられた、あなたが食べたことのない食材。おいしいし体にいいんだよとすすめられたその食べ物が『茹でたトカゲ』だったら…、あなたは食べてみようと思うでしょうか?

 

多くの子どもはまた、大人よりもずっと繊細な味覚を持っています。例えば、緑黄色野菜にはちょっとした苦みがありますね。この苦みのおいしさが1度わかれば病みつきになったりするのですけど。しかし味覚の防衛本能では、苦い食べ物=毒かもしれない、という思考が働くようになっているので、いかにも苦そうな濃い色の野菜をほんの少しでも目にすると、子どもは顔をゆがめたりすることがあります。このとき、彼らはその野菜を「嫌いだ」と思っているのではなく、「怖い」と思って見ているのです。

 

子どもが大人よりも強く恐怖心を抱くのは、人生の経験が圧倒的に少ないからです。もしあなたの子どもが新しい食べ物に対する恐怖を感じやすいようであれば、1度や2度嫌がったからと言ってあきらめるのではなく、何度も何度もそれを食卓に出してください。新しい食材を口にするために、10~15回ほどその食材を目にする必要がある子もいるとされています。(見るだけの回数です。強制的に食べさせる回数ではありません!)ですので、新しいものを食べさせるには、夕食にそれを出し続ける必要があります。あなたが何気なくそれを口にしておいしそうに食べているところを、まずは子どもに見せてあげてください。そうすると子どもは、それが毒ではなく安全でおいしい食べ物だと、だんだんと気付くことになります。

 

安全だとわかって食べられるようになるまでは、子どもは手をつけずに残し続けるかもしれません。でも夕食の時間が終われば、食事はそれで終わりです。デザートを出す予定であれば出してあげましょう。たとえ、親としては食べてもらいたかった栄養たっぷりの料理を子どもが残していたとしても、子どもにお願いして食べてもらったり、「これを食べなきゃデザートをあげないよ」などと強制的に食べさせてはいけません。「あとひとくちで食べ終わるのに!」というときでもです。

 

お母さんにべったりだった赤ちゃん期から少しずつ自立するため、子どもは2~3歳で第一次反抗期に入りますね。この頃の子どもは、食べてほしいなと親が思っているとすぐにそれを察知し、それを反抗するための格好の材料として、ここぞとばかりに抵抗してきます。無理に食べさせようとすればするほど、あんなに小っちゃい体でめいっぱい強い姿勢を崩さなくなるのです。そのためどんな食べ物も、子どもにお願いしたり強制して食べさせたりしないようにしましょう。大人が食べて見せるときも、「あぁ~おいしいなー」などと演技するのではなく、あくまでもさりげなくおいしそうに食べる、がポイントです。

 

そして今一度、大人の食生活も見直してみてください。あなたには好き嫌いがありませんか?もしあるのなら、食卓にはあなたが好きなもの、もしくはあなたが食べられるものしか並ばないはずです。そうするとあなたの子どもにとって、様々な食材や料理を目にし、食べられるようになる機会が減ってしまうことになります。

 

<子どもが持っている、健やかに育とうとする本能を信じる>

子どもの好き嫌いに対してストレスなく向き合うには、まずお母さんがリラックスをする必要があります。

 

意識すべきことは、夕食のテーブルに並べる品目を複数用意する、ということです。例えば2品しか用意していなくて、そのどちらも子どもが食べられるものではないとしたら、その子にとってその日の夕食は苦痛な戦いでしかなくなります。ですので、例えば3~4品の料理をテーブルに用意して、そのうち2品くらいは子どもが必ず食べられるものにしてください。そうすればその子は、自分にとって必要な量をちゃんととることができます。ただし、その子が好きな食べ物だからといって、家族の他のメンバーの分をその子に分けてあげてはいけません。あくまでも、食べられるものが2品くらいはあるように配慮をする、ということです。

 

子どもには、自分の健康を維持するに足る量や栄養を本能的に摂取する、という生まれ持った性質があります。食事を減らそうと考えるのはダイエットを意識するようになってからのこと。小さな子どもにはそのような考えはありません。それどころか、限られた食材しか食べておらず、それがたとえ大人から見ればごく少量に見えたりバランスが悪いように思えたとしても、彼らは本能的に自分の体を大きく丈夫にするための量をきちんと食べることができるのです。ただし、ジャンクフードやお菓子でおなかをいっぱいにさせてはいけません。毎日毎日穀物だけに偏りすぎるのもやめた方がいいと思います。ちゃんとした食材を使った料理で量や栄養を摂取する必要がありますが、子どもに任せていれば、白いご飯しか食べない日もあれば他の食材を食べる日もあります。毎日の食卓である程度食品の選択肢を与えれば、あとは「きのうはあれを食べなかった」「今日はこれを食べていない」と心配するのではなく、どの子も本来持っている“健康に育とうとする本能”を信じて、お母さん自身がリラックスしてください。

 

(注)本当にひどい偏食で、健康面への不安があるのならすぐに医療機関を受診してください。

 

<平和な食事の時間は大人にも子どもにも必要>

以上のことを心にとめていたら、食に対する心配が少なくなるかなと思います。

1日の最後の食事の時間に、食べる食べないのバトルが親と子どもの間で繰り広げられたら、あなたにも子どもにも、その時間が大きなストレスになりますね。日中子どもが幼稚園に行くようになればなおさら、家での暖かく快適な時間が重要となってきます。そしてあなたが働いているのなら、お仕事ですでにストレスを抱えているのだから、やはり家庭でのストレスはなくしたいものです。

 

家族で食卓を囲む穏やかな時間というものは、家族全員にとって非常に大切なものなのです。食事の度に、「残さず食べなさい」、「どうして食べないの」、「あと少しなんだから食べてしまいなさい」、「残したらデザートはないよ」などのやりとりをするのではなく、テレビを消し、携帯電話は食卓まで持ってこないで、その日起きたことや週末の予定を楽しく話したり、静かな音楽をかけるなどして、心地良い時間にしましょう。

 

<娘のその後は?>

冒頭にご紹介した通り、末の娘は好き嫌いが多い方でした。肉はあまり好きではありません。噛みごたえのある肉であればなおさらです。魚や魚介類は食べたのでまだ良かったのですが、今でも硬い肉は好みではないようです。

 

でも、食べてほしくて1番困っていたのは、肉類よりもやはり野菜。人参、レタス、キャベツ、茄子、ズッキーニ、アスパラ、ほうれん草などなどです(ピーマンはなぜか好きでした)。トマトやアボカド、マンゴーなどといった果物もあまり口にしない子でした。とにかく白いご飯が大好き。麺、スパゲッティ、パンも食べてくれましたが、さすがに炭水化物ばかりでは…。

 

そして好き嫌いが激しい上に、とても少量しか食べませんでした。

 

長女と次女はなんでも食べてくれたので、この三女の好き嫌いと小食が心配で、どうすればいいのかわからず悩みました。そこで、頼りにしていた育児の本を読み直し、書いてあるアドバイスに従って対応してみました。

 

お父さんに考え方を伝えて協力を得たので、うちの娘は私たちから「もう一口!」とか「〇〇を食べなさい!」と言われたことが1度もありません。娘が食べられるものは必ず2品くらい用意はしましたが、あとの品目は家族の他のメンバーが好きなものにしました。

 

乳幼児期はあまり変化がなっかたように感じますが、小学生になってからは食べる量が少しずつ増えて、思春期に入る前までに普通の量を食べるようになりました。また、小学校の給食やお友達の家で食事をしたりなどの人生経験を経て、ほんの少しずつではありましたが、食べられる品目が増えていきました。特に食べられる野菜が増えました(が、なぜか今でもアボカドとマンゴーなどはあまり食べません)。

 

当時のことを彼女に聞いてみると、私に「食べなくてもいいけど、他には作らないよ」と言われたのを覚えているそうで、食べられないとか食べたくないと思った時には何も食べなかった、という思い出を話します(嫌いではない食べ物でも、その日の気分によって「今日はこれは嫌い」という日がありました)。そして今、あんなに偏食だった彼女が嫌いなものは、しいたけ、紫蘇、パクチーだけだそうです。大人になるにつれてなんでも食べられるようになり、健康面の心配も特になく育った典型的な例です。

 

私自身が子どもだったときは「最後まで食べなさい!」、「エチオピアの子供たちは食べ物がなくて餓死しているんだよ!」(それが私の食べる量になんの関係があるのか理解できませんでしたが)で育てられました。また、マクファーレン家にはテレビを見ながら食事をする習慣があったのですが、親と私が見たいテレビ番組が違うので、小学生になってからは台所で一人で食べるようになりました。ちょっぴり寂しかったのですが、嫌いな人参や、グリンピース、チョーコというまずい野菜を愛犬に食べてもらったりしていました。(あいにくうちの犬はいんげん豆を食べることには協力してくれなかったので、並べていたナイフとフォークの下に隠すという工夫を編み出し、採用していました。)
 

自分が親になったとき、食事の時間は楽しいひとときにしたいと思い、『無理に食べさせない』、『みんなが話し合える時間にする』という2つのことを決めました。末の娘が小学生に上がった頃から、ある映画で見たハイ・ローのゲームを始めました。家族全員がその一日にあった1番良かった出来事(ハイ)と最悪だった出来事(ロー)をみんなに話すという単純なゲームですが、盛り上がることが多くてとっても楽しかったです。今でも全員がそろったときにやったりします。

 

とにかく育児は大変。経験者は誰しもそう思います。一日のうち、たった1回でも楽しい時を過ごすことができたらかなり和やかな気分になるので、育児真っ最中のお母さんたちにとって、今回の話がためになったら嬉しいです。

ライター:EFL Club 校長 Laura Macfarlane

オーストラリア出身。グリフィス大学近代アジア学部卒。日本で25年以上生活。日本語能力検定1級を取得したバイリンガルで、3姉妹の母。1996年にEFLを創立。その理念やカリキュラムの元になっているのは、自身の娘たちをバイリンガルに育てた母としての感覚、ハンディキャップを持つ次女の傍らで必死に勉強した脳の仕組みや言語訓練に関する知識、自身の日本語能力検定1級取得に至る過程から学んだこと、日本国内の様々な学校で英語指導を多数行った経験などなど。これらを通して自分が正しいと思ったことだけを、愛する生徒たちのため日々力強く実践中。

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