ローラ流 旅のススメ
¡Hóla!(オラ) ¿Cómo estás?(コモ エスタス)
皆さん、こんにちは!いかがお過ごしでしょうか。
もうすっかり寒いですね。今年の夏はどのような思い出を作りましたか?
私はこの夏スペインに滞在してきました。8月のスペインの気温は、毎日40度前後。日本と比べて湿度が低いのでカラッとはしているし、日本人より暑さに慣れているオーストラリア人の私にとってはまだ我慢できた方だとは思いますが、それにしてもとても暑い毎日でした。
「ローラはいいよね。英語が話せるからどこに行っても意思疎通には困らないんでしょ?」と思われますか?これ、海外に行くと言ったらよく言われます。でも答えは、¡No!(スペイン語では「ノー」ではなく「ノ」と発音します。)英語圏以外の国は、英語が通じないものと思って旅行をされるのがいいと思います。でもそれは苦労ではなく、むしろ旅の楽しみとなります。今回はこのお話を書きたいと思います。
旅を楽しむポイントとしてぜひおすすめしたいのは、海外に行ったら、その国の言葉にどんどん挑戦してみてください、ということです。
初めて訪れる場所で言葉もわからなければ、電車のチケットを買うにも宿泊先を見つけるにも、何をするにも時間がかかります。思わぬハプニングが起きることもあるでしょう。ですので、時間にもお金にも気持ちにもたっぷりと余裕を持つことが、旅を上手にすすめるコツです。タイトなスケジュールを組むのではなく、その日の疲れ具合などに合わせて「明日は何をしようか?」と相談するのも楽しいものです。現地でツアーに参加するのもいいですね(私は今回、オリーブとワインを作っている農場や工場を見学しレストランでテイスティングをするというツアーや、ウォーキングツアーなどに参加しました)。そして、慣れない土地ではハプニングは付きものだと元々思っておけば楽です。どんなときでもパスポートはしっかりと管理し、多少の余分なお金と、融通の利く時間配分を用意しておけば、わりとちゃんとうまくいくし、結果として良い思い出になります。
AirBnbというのをご存知ですか?一軒家やアパートなどを借りて旅行者が滞在できるよう、地元の住宅地を管理するウェブサイトです。ご存じない方は一度インターネットで検索してみてください。日本も含め色々な国のAirBnbがたくさん出てきます。街の中心街にあるホテルの滞在も便利で良いものですが、AirBnbの物件はキッチンがついている場合が多いし、料金も割安で快適です。また、日本の家の造りとは全く違う外国の家に住む、というのも良い経験だと思います。
私は今回、マドリードなど1~2泊しかしていない街はホテルに泊まり、数日間連泊した場所ではAirBnbの物件に滞在しました。下の写真は、グラナダという街で宿泊したマンションのテラスです。ここに座ってのんびりしていると、隣の劇場から音楽が聞こえてきて、思いがけず素敵な時間を過ごすことができました。
ただ、現地の住宅地に滞在するということは、周辺に住んでいるのは普通の住民の方達。そこで観光客を相手にしたお仕事をしているわけではないので、英語が通じないことが多いです。そこに滞在するには、英語をわかってもらおうとするより、こちらがその国の言葉をカタコトながらも話す必要があります。
今回スペイン語初心者だった私も滞在中何度も経験しましたが、単語を並べて一生懸命しゃべってみると、意外とわかってもらえます。目の前で地図やメニューなどを広げ、現地の言葉で一生懸命伝えようとすると、やはり相手も人間なので一緒に考えてくれるんですね。結局は人と人のやりとり。怖がることはありません。必要なのはほんの少しの勇気だけです。
そうやっているうちに、お友達になっておうちに招待されたり、ご家族やお友だちを招いたお食事に誘ってくれたり。そうやって地元の人々に溶け込んで作る思い出は、一生忘れがたいものとなります。
そんなAirBnbの物件に滞在しながら、今回の旅をより楽しむため、現地で5日間スペイン語のレッスンを受けてみました。
スペイン人の先生による、スペイン語だけで行われるスペイン語の授業。EFLのレッスン環境と同じです。一緒にレッスンを受けたメンバーは全員、初心者ながらもある程度スペイン語学習の経験があり、1・2・3の言い方もわからない完全なる初心者は私だけ。先生に、スペイン語で「あなたのお名前は?」と聞かれても、何を言われているのか、何と答えていいのか全くわからない未知の世界。それでも5日間、合計たった15時間のレッスンを受けただけでも、先生の言っていることがだいたいわかるようになってきました。
なぜだと思いますか?スペイン語は英語と似たような単語もあるので、意味をなんとなく想像するのが比較的容易なのです。それにスペイン語の発音は綴り通りで、英語の発音よりもシンプルなように思います。
文型や文法も、英語と似ているものがたくさんあるように感じました。今回先生が教えてくれたもののうち、1つ例をご紹介します。
¿Dónde está el baño? 「バスルームはどこにあるの?」
= Where is the bathroom?
A. Está junto a la cocina. 「キッチンのとなりだよ」
= (It) is next to the kitchen.
おわかりでしょうか。
¿Dónde (Where) está (is) el (the) baño (bathroom)?
A. Está (is) junto (next) a (to) la (the) cocina (kitchen).
英語と語順が同じなので、すぐに覚えることができました。
ところが日本語と英語などは体系がまったく違うので、日本人が英語やヨーロッパの言語を難しいと思うのは当然のことですね。私も日本語の習得に大変な時間と労力を費やしたので、本当によくわかります。しかしそれでもなお、それを苦だとは思わず、ぜひ楽しみながら声に出してコミュニケーションをとってみてほしいのです。旅先で言葉が通じないことは『つらい』経験なのではなく、『楽しい』経験なのだと気づいてください。今の時代、携帯電話で意味を調べたりできるので、大きなトラブルになることもないでしょう。
どの言語でも、「伝えたい」という気持ちがあれば、意思疎通ができる。それが人間だと思います。数年後、その旅行で1番印象的だった出来事や人を思い出したとき、お互いの言語を知らなくてもがんばってコミュニケーションをとってくれた人が、やはり最初に浮かんできます。そういう記憶が「楽しかった」という思い出をより愛おしくしてくれるものです。これらの思い出は、勇気を持って自分から声をかけたことがきっかけとなることがとても多いように思います。
英語に限らず言語が大きな壁だと思っている皆さん。言葉は間違いなく世界を開いてくれます。できる・できないは関係なく、全ては人間同士のやりとり。「この人と関わってみたい」、その気持ちが1番大切なのです。
日本に来ている外国人を見かけたときに、「日本語は難しい言語だからきっとわからないのだろう」と黙った経験はありませんか?ここは日本なのだから、ぜひ日本の言葉で話しかけてあげたらどうでしょう?相手にとってはきっと思い出に残る最良の挑戦となるはずです。そしてあなたが外国に行ったら、「ここは英語すら通じない国だから」などとシャイになるのではなく、せっかくその国に来たのだから、たどたどしくてもその国の言葉であいさつをしてみてください。もしなにか、人と人とのやりとりに必要がありそうで実は全くないあきらめや遠慮があるなら、今すぐ捨てましょう。挑戦を楽しんで!さあ、¡Buen viaje!(ブエン ビアへ) 良い旅を!
¡Gracias!
ライター:EFL Club 校長 Laura Macfarlane
オーストラリア出身。グリフィス大学近代アジア学部卒。日本で25年以上生活。日本語能力検定1級を取得したバイリンガルで、3姉妹の母。1996年にEFLを創立。その理念やカリキュラムの元になっているのは、自身の娘たちをバイリンガルに育てた母としての感覚、ハンディキャップを持つ次女の傍らで必死に勉強した脳の仕組みや言語訓練に関する知識、自身の日本語能力検定1級取得に至る過程から学んだこと、日本国内の様々な学校で英語指導を多数行った経験などなど。これらを通して自分が正しいと思ったことだけを、愛する生徒たちのため日々力強く実践中。