プルート、がんばれ!パンダ、がんばれ!!
今日は小学生コースのレベル1、プルートグレードをのぞいてみます。
時期は5月中旬。ついこの間まで幼児コースに通っていた子たちも、もうピカピカの小学1年生です✨
みんな小学生コースのレッスンに慣れてきたかな?
そう心配しながらレッスンにこっそり入ると…
"It’s orange."
今日は色の勉強ですね。ていうかさらっと"It’s"も付けれるなんて…。
しっかりとお口を動かして元気いっぱいに発音していました。
EFLの先生たちは、ただ英語を教えるだけではなくしつけもしっかりするので、1年生になったばかりの子たちは小学生コースのルールに慣れるまで、毎年お行儀の面で注意されることも多いものですが、
みんな姿勢を保って先生に注意を向けていますね。
そして宿題として自分が塗ってきた色を、みんなに発表します。
人の方に絵を向けて発表できる気づかい、ステキな1年生さんです。
"It’s black, purple, white and red."
最終的には何個も色の名前をつなげて、長い文章を言っていました。
ぇちょっと待って、なにその発音。
「パープル」がですね、書面じゃ伝わりにくいのが残念ですけども、「パーポー」って感じなんです。とても自然に。
小学校にあがって日本語の語彙力も爆発的に伸びてくるこの時期、カタカナ英語よりも先にネイティブの英語を身に付けるって大事ですね。
再び色のついたカードを見せ、1人ずつ指名して"Is it brown?"などと先生が聞くと、"Yes."と答えたり
"No. It’s yellow."と答えていました。しかも、"No"や"yellow"などの色の名前のところに強勢が置かれていて、自然なイントネーションが生まれていましたよ。
ただ単に色の名前を覚えるだけのレッスンではありません。
こうして会話のすべやナチュラルさを身に付けていきます。
"Put your homework in your file, put your file in your bag, and sit down."(「じゃあ宿題をファイルにしまって、ファイルはバッグに入れてね。そしてまたここに戻ってきて座って。」)
ナチュラルスピードの先生の英語、しかもこんな長いのを1回でパッと聞き取って、サクッと行動していました。
最初は、英語で指示を出しながらジェスチャーをつけたり先生が実際に行動して見せたりしないと、子どもたちは理解しませんでした。でも、前後にやっていたこととの流れや文脈などから、こういうことを言っているんだろうというのがわかるようになっていきます。1つの文が長くても、キーワードとなる単語を聞き取れるようになり、全体の意味がだいたいわかるようになっていく。もちろん、ゆくゆくはすべての単語も聞きとれるようになります。
それが、母国語と同じように自然な流れで習得する英語。
レッスン中、絶対に日本語の使用が許されないのは、このような習得を目指すからです。文法や単語の練習、それもいいのですが、文脈の中で「こういうことを言っているんだろう」という覚え方は本当に浸透が速く、忘れにくいものになります。
海外旅行に行って現地で出会うネイティブと話すとき、彼らの言うことは速いし長い。まさにそのときと同じです。キーワードを聞き取って理解し、答え、会話が続いていく。
『話す』ということはこのようにできるようになっていくのです。
さて、次に出てきたのはカードに書かれた"a"の文字。…「a(エー)だ。」
心の中でそうつぶやいた私。
でも子どもたちが声をそろえて口にしたのは、まさかの「ア」。
これ…、難しいやつだ…。
英語には数種類あるんですよね、「ア」の発音。
私にはいまだにその違いがわからなく、ネイティブに囲まれて仕事をしている今でも、全く真似できません。中学校や高校で詳しく教えてもらった記憶もないなーと思うんですが、皆さんはどうですか?
"u"も「ア」と発音するときがありますが、この「ア」は日本語の「ア」と同じ発音です。
でも"a"を「ア」と発音するときは、日本語の「ア」よりも口を横に大きく広げて言います。
今回子どもたちが教わっていたのは"a"の「ア」です。子どもたちはどうしても日本語の「ア」を言いたくなるので、先生は大げさに口を広げてお手本を見せていましたよ。そして子どもたちはとても素直に真似したり、先生になおしてもらったり、1つ発音するだけでもニコニコととても楽しそうでした。
今はちょっと検索すればYoutubeや本などからなんでも情報を得ることができますが、言葉っていうものはやっぱり、目の前でそのときの自分に必要なお手本を見せてくれたり、その場で自分の発音をなおしてくれる先生がいてくれた方が効率がいいですね。日本語にはない音は、聞き取りにくいし真似もしにくいので、なおさらです。
あとはこういうのも出てきましたよ。
"p"=「プ」
そして、"t"=「トゥ」
あとは、"d"=「ドゥ」も出てきました。
これらは、日本語の『ぱ行』と、『た行』の中でも「タ」「テ」「ト」という音、また、『だ行』の中でも「ダ」「デ」「ド」という音に似ているので、日本人もわりと簡単に発音できます。
でも日本人にとって難しいもの、ありますね。
例えばこれ。"n"です。みなさん、なんと発音しますか?
子どもたちが発音したのは、「ンー」。
鼻から抜けるような余韻のある音が上手で、びっくりしてしまいました。
実は「ン」って奥深いんですよ。色々種類があるんです。
次の章に進むと、この子たちは"m"も習います。
"m"の発音も、「ン」です。でも"n"の「ン」と"m"の「ン」は音が完全に違います。
日本語の「ん」にも同じように種類があるの、お気づきでしたか。
ちょっと下のがんばっているパンダちゃんを見ながら、声に出して応援してあげてみてください。
「パンダ、がんばれ!!」
ちゃんと声に出してみました?
この2つの「ン」、唇や舌の位置などが違いますよね?
「パンダ」の「ン」は英語で言う"n"、「がんばれ」の「ん」は"m"です。
このように"n"と"m"は口の形や舌の使い方が違うのですが、日本語ではどちらも「ン」と表記するしかありません。
そのため日本語話者には「ン」の区別を意識する習慣がないんです。だから英語を学ぶときに、私たちは"n"と"m"の違いを意識したり聞き分けたりするのに苦労をするんですね。
この2つの「ン」の違いを、子どもたちはレベル1で習い始めますが、ネイティブでも電話だと"n"と"m"を聞き間違えることがあるそうですよ。だからこそ日本人は特に、意識をしないといつまでたっても"n"と"m"を区別する習慣は身に付きません。生徒さんにその意識を高めさせるのは、やはりネイティブの先生の役割です。だから、ネイティブではない先生の発音で英語を教わってしまったり、大人になってから2つの発音の違いをカチカチの頭で考えようとしても、正しい聞き取りや流ちょうな発音は難しくなっていくと思います。
他にも、日本人が苦手とする"th"や"ir"の発音を、ネイティブの発音で、しかも小さいころから年数をかけて、継続して訓練を受ける必要性をおわかりいただけるかなと思います。そうすると子どもたちの能力は必ず高くなっていくのです。
実はこの間、私は先生と話していて、"girl"という単語を使ったのですが、"ir"の発音が伝わらなくて、結局最後まで、私がなんと言っているのかわかってもらえませんでした…。まさか中学校の最初で習うような単語が伝わらないとは…😞
さて、レッスンに話しを戻しますね。
並べられたアルファベットは"t"、"a"、"p"ですが、アルファベットとは文字の名前であって、「ティーエーピー」と発音しても単語にはなりませんね。
一文字ずつの発音は、「トゥ」「ア」「プ」という音。それを『フォニックス』と言いますが、この『フォニックス読み』を身に付けておくと、将来知らない単語に出会ったときも、「トゥ」「ア」「プ」…「タップ」と発音できるようになります。
そして出てきたのは、
ジェンガ!笑
「ア」「ンー」「ドゥ」…「アンドゥ」
上手に発音出来たらジェンガができます!
下の方も見ながら倒さないように工夫してます。
そこそこ体がやわらかくなきゃできないんですね、ジェンガって。笑
よく受けるご質問に、「小学生コースに上がったら急にお勉強スタイルになって難しくなるんですか?」というものがあります。
小さいころから通っていただいている保護者の方が、このようなご心配をされることがありますね。
でもご安心ください。楽しいおもちゃが、まぁ出てくる出てくる!
ワクワクの表情のまま、
立ったり座ったり、飽きないような工夫がなされながらのあっというまの50分です。
ゲームをしながら覚えたり、
上手に答えられたらコインを集めたり、
1つずつブロックをもらったりなど
小さな子どももついつい夢中になってしまうようなアクティビティを活用しながら、年齢とともに次第に大きくなってくる知的好奇心をしっかり満たす、そんな絶妙なバランスを保ったレッスンが展開されています。
だから、はい、この笑顔。
この笑顔の積み重ねが、高度な基礎力につながります。
プルートくん、プルートちゃん、がんばれ!
レベル2『ネプチューン』グレードの記事はこちら。
ライター:EFL受付Atsuko
道内の高校で英語教員として15年間勤務。時代は学校の英語の授業にオールイングリッシュの授業を求め、カリキュラムや教科書が変わり始めたころ。一方で現場にいるのは、ひたすら訳読を勉強し会話の授業を受けた経験などない世代の教員たち+思春期・反抗期真っただ中の生徒たち。この状態でオールイングリッシュの授業の成立など夢物語、できたところで日本人の英会話力はあがらない、と悶々とした日々を送った愛犬家。現在は、文法が苦手な中学生高校生のお手伝いをたまにちょっとしつつ、日本人の英会話力になにが必要か、日々勉強し発信しています。