ネプチューンの笑顔の秘密
小学生コースのレベル2、『ネプチューン』グレードをご紹介します。
『プルート』グレードの1つ上のグレードです。
この子たち、ついこの間まで幼児コースに通っていたのにねーなんて感慨深げに教室をのぞくと…。
ふむふむ。今日は職業の名前を学ぶのね。
…え…。右上、宇宙飛行士?
えっと、宇宙飛行士ってなんて言うんだっけ、アスト△※〇◇…?
って私が思い出すより先に、子どもたちは「ェアーストラノーゥッ」って感じで、声をそろえて発音していました。
…敗北感を感じながら、気を取り直してカメラを構えなおすと…
あ、どんどんカードが増えてる。こんなに覚えるの?
英語だけで行うレッスンなので、”teacher”という単語が出てきても「先生」という訳を教えることは、もちろんありません。
でもこうやって、写真などを効果的に使いながら、英単語や表現があらわすものをそのまま頭に入れていくので、”teacher”という単語がなんのことか、小さい子どもたちもちゃんと理解できます。
このようにして、英語を英語だけで頭に入れていきます。
だからこの子たちが将来大きくなって英語で会話をするようになったときに、頭の中で日本語を英語に置き換えたり、またはその逆を考えながらしゃべってしまうことはありません。考えている間に沈黙がうまれることがないので、やりとりがポンポンと続く、スムーズな会話が可能となっていくんです。
さらにこれ。
え。真ん中の絵、お医者さんひとり。そして右上の絵、お医者さんがたくさん。
…てことはもしや、複数形も一緒にお勉強するってことでしょうか。
真ん中の右端、”astronaut”。真ん中の上段、”astronauts”。
間違いない。複数形ですね。
そうかぁ。職業の名前を覚えながら複数形も一緒に覚えてしまうんですね。
と、ここで…。子どもたちが練習し始めたのは、このカードを使いながら
“He’s an astronaut.”
”She’s a teacher.”
“They’re farmers.”
なんと、…人称代名詞じゃないですか!
日本人が中学校で教わったときは、まず人称代名詞を教わって、次に”I”のときのbe動詞は”am”、三人称単数の時は”is”、複数の時は”are”、なんて教わって、なんのこっちゃとつまずいたりしました。
でもなるほど、”He’s”、”She’s”、”They’re”といったように、最初から短縮形で教わってまとまりとして覚えてしまえば、使うときに間違うことはないですね。
しかもネイティブは話すとき9割短縮形を使っていますからね。子どもたちは最初からこうやって自然な表現を覚えていくのですね。
さらに冠詞”a”と”an”にも徐々になじみを持つように、計画が組まれています。
先生お手製のルーレットを使って、練習を続けます。
みんな自分の順番をきちんと待っていられて、おりこうさんでした。
上手に言えたらカードをもらえるんですが、くっついてカードを見せ合って、女子ですね。かわいい☺
次は。
フォニックス。
日本人が苦手とする発音のものもたくさんあります。
(画像は「マイスキ英語」さんからお借りしました。)
こういう舌の図説、見たことありませんか?
ある程度英語を知っている大人が、もう1度勉強しなおすときなどにはわかりやすくとても役立ちますね。でも日本語にない音は特に、目の前に正しいお手本を見せ聞かせてくれる人がいた方が、絶対モノになります。
思春期にさしかかって恥ずかしさが出てくる前に、目の前で先生が何回でもやって見せてくれるのを、たっくさんたっくさん真似して覚えていく子どもたちが、ほんとにうらやましいなと思います。
もう1回同じ写真ですが、
“m”と”n”の違いについては前回熱く語ったので、今回は”f”に熱くなりたいと思います。
最後に出てきている”f”。この発音は「フ」です。
日本語の「フ」とは違って、前歯を下唇に乗せて発音します。
やってみてください。
前歯が下唇に触れている限り、日本語の「フ」という音は出てきませんよね。
出てくるのは息だけです。それが正しい”f”の発音です。
のどを触ってみてください。力は入っていませんね。
同じ口の形で、のどに力を入れてみてください。のどが震えて音が出ると思います。
それが”v”の発音です。
このホワイトボードには書かれていませんが、この子たちは”v”も習っています。
あと”h”についても語りたいんですが、長くそしてまた熱くなってしまうので、またの機会にします。
びっくり。こんな長い単語読めるの?
この単語の和訳は気にしません。
1文字ずつの発音を確認し、次に単語として発音する、の練習です。
単語が書かれているカードだけではなく、先生の顔を見上げて、口の形をよく見て真似しようとしています。
こんな長い単語も、
pプ、iイ、sス、tトゥ、oオ、lル … pistol ピストル
…ちゃんと解読して発音できていました。
こうしてフォニックスを覚えていけば、知らない単語や長い単語に出会っても、自分の力で読めたり書いたりできるようになっていきます。
子どもたちはみんな、代名詞や複数形、そしてフォニックスも、まだまだ完ぺきではありませんでしたが、繰り返しネイティブに教わりながら、数年かけてだんだんと身に付けていくのです。
最後は音を聞いて文字を書く練習もしました。フォニックスの練習です。
先生が、まず一文字ずつ発音して、次に単語として発音します。
先生の発音をよく聞いて、
口の形を真似したりしながら、なんの文字の発音をしているのか考えます。
そうやって書き取った文字。
できたー。
はい、今日もがんばりました。
職業の名前も複数形も、”He’s”も”She’s”も”They’re”も、それからフォニックスも。
50分間の中で、1分も無駄にすることなく、大事なことをたくさん学びました。
英語でしか説明されないなら難しいんじゃない?楽しくないんじゃない?英語を始めるならまず日本語で教わったほうがいいんじゃない?
よくご入会前の方が感じるこのような心配を、みじんも感じさせないレッスンでした。
英語を英語だけで理解していく。
とても高度なことですよね。理解できないと、いくらゲームをしたって楽しめないはずです。
でもレッスン中、この笑顔。
レッスンから出てくると、子どもたちはみんな「楽しかった」と言います。
「楽しめている」=「理解している」です。
笑顔は理解のバロメーター。
もっとレベルが上にあがって、内容がこーんなに複雑になってきても
ほら、みんなこの笑顔。
ね。ご安心ください。
次回はレベル3の子どもたちの笑顔をたくさんご紹介しますね。
ライター:EFL受付Atsuko
道内の高校で英語教員として15年間勤務。時代は学校の英語の授業にオールイングリッシュの授業を求め、カリキュラムや教科書が変わり始めたころ。一方で現場にいるのは、ひたすら訳読を勉強し会話の授業を受けた経験などない世代の教員たち+思春期・反抗期真っただ中の生徒たち。この状態でオールイングリッシュの授業の成立など夢物語、できたところで日本人の英会話力はあがらない、と悶々とした日々を送った愛犬家。現在は、文法が苦手な中学生高校生のお手伝いをたまにちょっとしつつ、日本人の英会話力になにが必要か、日々勉強し発信しています。